初心に立ち返って
平成最後の新年を迎えました。
平成は、障害者福祉制度も大きく様変わりした30年でした。
初めて障害福祉課に配属された平成3年当時、福祉サービスの提供方式は「措置」でした。社会資源は今ほど整っておらず、重度障害者を取り巻く環境は厳しいものでした。養護学校を卒業すると進路先がなく、保護者が中心となられて無認可の小規模作業所が作られました。その多くは自己資産に乏しく、職員の給料は最賃以下、作業場は狭隘で、環境も良くない…そうした中でも通所者は生き生きと作業をしていました。その姿を見るにつけ、陽当りのよい、広々とした快適な施設がほしい、そのためにも作業所の法人化を支援しなければと考えるようになりました。作業所の皆さんは法人化に必要な資金を集めるため、バザーや街頭募金に遮二無二取り組まれました。私は土地を探して歩きました。そして、「市有地無償貸付制度」を活用して、平成4年に(社福)もみじ福祉会が、平成8年には(社福)交響が誕生しました。
平成15年に支援費制度が施行され、「措置」から「契約」に移行しました。
平成18年に障害者自立支援法が、平成26年には障害者総合支援法が施行されて、障害があっても誰もが自らサービスを選んで、事業者との「契約」により福祉サービスを利用できるようになりました。
平成は、障害者福祉制度が大きく変革し、民間事業者の参入が進んで、福祉サービスの種類も量も格段に増加しましたが、障害者をめぐる課題はあまり変わっていないように思います。例えば、在宅で重症心身障害児者を介護されているご家族のレスパイトの要望や、“親なき後”の安心の道筋を確保したいという保護者の願いなどは古くて新しい課題です。障害者の支援においては、ご本人だけでなく、そのご家族等の願いを受け止めることが大切であり、不変の課題ではないかと感じています。
新しい年を迎え、初心に立ち返って障害者福祉と向き合っていこうと思っています。